開業8カ月目が経過したライトラインはすでに利用者300万人と多くの方に利用されています。なぜ、成功したのでしょうか?
絶妙な運行ルート選定
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ライトラインのルート全体像を見ると、直線ではなく何度も大きく折れ曲がるようなルートになっています。所要時間も伸びてしまうため、一見無駄が多いように見えますが、ここに成功のカギがあります。
LRT専用橋を架けるという決断
平石電停から北東方向へ鬼怒通りを進み、柳田大橋を通ってゆいの杜へ繋がるルートが最短ルートです。当初は宇都宮市もそのようなルート案を出していました。しかし、それでは朝通勤時に柳田大橋付近の渋滞を悪化させてしまう可能性がありました。
そのため、平石~清陵高校前までをLRT専用区間にして、新たにLRT専用の鬼怒川橋梁を架けるという大きな決断をしたのです。
LRT専用橋を架けることで今までの車通勤ルートから大きく変わりましたが、清原工業団地へのLRT通勤という大きな需要を生み出しています。
実際に朝通勤時は多くの乗客がグリーンスタジアム前(キヤノン前)で降りています。先日発表された資料からも清原工業団地周辺(清涼高校前~グリーンスタジアム前)の利用が多いことがわかります。
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主要道路の渋滞は緩和傾向
地元テレビ局のとちぎテレビでは定期的にLRT関連のニュースが取り上げられていますが、開業前に懸念されていた車線減少による渋滞の悪化は起きていません。
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上記の報道ではあくまで2021年との比較と書かれています。コロナ禍で通勤者数が減っていた可能性もあるので、宇都宮市東部地域渋滞対策協議会が公開している資料で詳細を確認しました。
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最も混雑する柳田大橋での渋滞は悪化していないようです。では、LRT線路設置に伴って鬼怒通りの車線減少で交通量が減り、他の道路へ迂回するドライバーが増えたかというとそうではありません。
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鬼怒通りの北側を並行して走る白陽高通り、南側を走る国道123号については横ばい~軽度緩和されているようです。これはLRT開業直後の8月のデータなので、もう少し長期的に追跡したデータが今後渋滞対策協議会から発表されることでしょう。
少なくともLRT開業前に懸念されていたように、渋滞が悪化しているということはありません。LRT開通により車利用者が減っていることがわかります。
電停に駐車場を設置
トランジットセンターや一部の電停に駐車場を設置したことも、利用者増加の大きな要因です。
想定以上の利用で駐車場を増設
平石電停:27台(当初)→55台(現在)
飛山城跡電停:8台→45台
清原トランジットセンター:64台→85台
芳賀工業団地TC:55台→69台
無料駐車場は当初の想定よりも多くの方に利用されており、需要に応じて駐車場の増設をしています。宇都宮駅西側では広い敷地がないため無料駐車場を設置することは難しいですが、東側は土地に余裕があるからこそできたことです。
これらのトランジットセンターは朝ラッシュの混雑地帯と重ならないため、渋滞を悪化させる影響も少なく、利用者増加に繋がっています。
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駐輪場利用者も多い
電停から近い位置に駐輪場が設けられており、これらの利用も好調のようです。特に大学生や日常利用の多いベルモールには電停付近に大型駐輪場とバス停が新設されて使い勝手がよくなっています。
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宇都宮市ではLUUPも多くの方に利用されており、4月からさらにポート数も増えています。都内近郊では駐車スペースが狭いため「LUUP=キックボード」のイメージが強いですが、キックボードよりも自転車型LUUPが多く導入されている点が宇都宮市の特徴です。
反対派に屈せず開通させたこと
ライトライン開業に際して多くの反対派の意見がありました。理解できる内容の反対意見も多く、検討すべき内容もあります。しかし、市民団体「宇都宮市のLRTに反対し公共交通を考える会(以下、反対派と称す)」が荒唐無稽な意見を出していて、何というか…市民がかわいそうになってしまいます。そもそも団体の名称から矛盾している気がしますね。せっかくなので、公開されている反対派の意見を取り上げていきます。
反対派の意見とは・・・?
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「座席数が少ないLRT」と書かれていますが、バスは1台で定員50人、LRT車両は3両編成で定員160人となっています。座席だけでも50名分用意されており明らかに上回っていますが、反対するためには嘘をつくことも厭わないスタンスということでしょうか?当然のことではありますが、事実を並べて反対意見を提案するのは良いのですが、虚偽内容を並べてしまうようであれば議論の舞台に立つ資格はありません。
また、「通勤者や高齢者に優しい交通機関にならない」と書かれていますが、LRT電停はすべて屋根付きで椅子も設けられており荒天時も濡れずに待機できます。走行中もバスよりも揺れが少なく、転倒リスクも少ないです。低床車両なので、車いす利用者も自身で乗降可能ですし…言い出したらキリがありませんね。
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乗り換えが強制される
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乗り換えの強要といいますが、そもそもLRTを導入しなかった場合に既存のバスや電車では乗り換えが不要なのでしょうか?また、病院に行く高齢者全員が自家用車を使えるわけではないため、公共交通機関の充実は必要なのではないでしょうか?
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市民にとって負担になるどころか、LRTとバスが連携することで市内の広いエリアをカバーできるようになり、通院しやすくなっています。LRTは定時性がバスに比べて担保されており、LRTからバスへの乗り換えも従来よりスムーズに行えるのではないでしょうか。
自家用車の運転が難しくなる高齢者にとってはタクシーよりも安価で、運行本数の多いLRTは新たな足として活躍しています。
建設費用が高い
当初の予算から増額され、最終的には総工費684億円でライトラインは完成しました。たしかに安い金額ではありませんが、もたらされる経済効果はすでに900億円と算出されており、他にも沿線住民の増加、地価の増加、人口減少の食い止めなど様々な良い影響を及ぼしています。
そして路面電車であることで費用を抑えられているといます。例えば、つくばエクスプレスが今後土浦延伸が予定されていますが、直線距離8.4kmで、延伸にかかる総事業費は約1,400億円とされています。ライトライン総工費には全17編成の新規車両や鬼怒川橋梁の建設費も含まれていることを考えると妥当な金額だと思います。
結局は政治的対立が原因
もはや反対派のご老人たちも政治活動のためのコマに成り下がっています。政治的内容に関しては深くは触れませんが、某政党は先述のつくばエクスプレス延伸にもしっかり反対しているので、皆さんもご存じの通りかと思います。さっそく代表のおじいちゃんがLRT西側延伸にも反対しています。元気があっていいですね!
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バス用のトンネル!?
荒唐無稽さに拍車がかかっていて、見ていて微笑ましい内容です。
いかがだったでしょうか。本当はLRTの成功の背景にはtotraの普及、車両デザイン改良、PR活動など様々な努力が重なっており、この記事だけではそういった詳しい内容を書ききれないのが残念です。
まだ開業から1年も経過していませんが、全国的に様々な都市でLRT導入が検討されています。そのため、宇都宮市の今後の動向も注目されていることでしょう。身近なところで起きているLRTによる市の変化を今後もお伝えできたらと思います。