MENU

休日は閑散?終点「芳賀・高根沢工業団地」の正体とは

初めてライトラインを休日に乗りに来た人は終点の「芳賀・高根沢工業団地」が閑散としていることに驚くでしょう。しかし、この終点こそがライトラインが成功した重要なカギとなっています。

目次

芳賀・高根沢工業団地とは

中核となっているのは本田技研工業をはじめとしたHonda関連企業です。終点の芳賀・高根沢工業団地と1つ手前のかしの森公園前の2つが企業の最寄りの電停となっています。工場が大きいため、入り口ゲートによって最寄りの電停が変わります。常勤職員だけで約1万3千人が勤務しており、派遣社員も含めると約2万人とされています。

2023年8月までは企業バスが宇都宮駅東口から出ていましたが、現在は企業バスがなくなったため、多くの人がLRT通勤に移行しています。

当初はHonda関連企業へのLRT通勤者は約1,000人とされていましたが、利用者状況を見る限り2,000人以上に増えているようです。

終点の2つで1日約4,000人の利用者

平日は利用者数が多いものの、休日は5分の1程度に減っています。実際には祝日も工場勤務する方が多いので、純粋に土日だけの利用者数となると更に少ないでしょう。

沿線の2つの工業団地

清原工業団地

芳賀町-LRT事業概要より

清原地区市民センター前グリーンスタジアム前電停が工業団地内にあります。電停に近いキヤノンの社員が通勤時に利用しています。もともと通勤用バスが宇都宮駅東口から出ていましたが、宇都宮駅東口発の社用バスがほぼ廃止となりました。

芳賀・高根沢工業団地

芳賀町-LRT事業概要より

かしの森公園前芳賀・高根沢工業団地電停の2つの電停が最寄りとなっています。ほぼHonda関連企業のみで成り立っているのが特徴です。

近くに芳賀工業団地がありますが、芳賀台電停から東に進んだ立地でLRT沿線からやや離れた立地となっています。

少し古い資料ですが、驚くべきは芳賀・高根沢工業団地はたった3社で他の工業団地と同じ程度の従業員を抱えている点です。これこそが平日の利用者数が多い理由となっています。

Hondaが移転するとLRTはオワコンに?

ここまで見るとライトラインはHondaに大きく依存した構造になっています。そのため、Hondaが移転・閉業することは大きな損失となってしまいます。この点について少し言及します。

栃木工場は開発・研究がメイン

本田技研工業の連結子会社の1つが芳賀・高根沢工業団地にある四輪R&Dセンターです。ここでは走行実験や研究・開発を行っています。


木下 Global化の中で、R&DにおいてはCISが同時に全世界をコントロールしているのでしょうか?

中嶋 R&Dは栃木が中心です。

木下 国内も海外もそうですか。

中嶋 主要なものは、栃木で開発運用しています。細かいところはその事業所ごとに作る場合もありますが、基幹となるのは、すべて栃木で行っています。
https://www.nttd-es.co.jp/magazine/backnumber/no64/no64-special.html より引用


また、同施設を上空からを見てみましょう

東側に大きなテストコースを備えています。2009年に稼働開始し、約170億円の費用をかけて建設されました。このテストコースは通常環境での走行テストが主に行われています。ちなみに寒冷地テストを含めた走行テストは北海道上川郡鷹栖町にある鷹栖プルービンググラウンドで行われています。

余談ですが、上記テストコースのみでは手狭になり隣接するさくら市にも2016年に栃木プルービンググラウンドさくらが新設されています。こちらは主にホンダセンシングのテストなどが行われているようです。

これらのテストコースに多額の設備投資もされています。代替となる施設が新たに建設されない限り、移転の可能性は低いのではないでしょうか。

芳賀町唯一のスタバは社員専用

余談ですが、実はかしの森公園前電停から歩いて5分程度にスターバックスコーヒーがあるのです。しかしながら、敷地内の施設であり基本的に社員しか利用することができません。スターバックス公式ホームページには表示されませんが、本田技研四輪R&Dセンター店としてgoogle mapに掲載されています。

「スターバックス コーヒー 本田技...
「スターバックス コーヒー 本田技研工業Tochigi East店」に関する Google でのクチコミ(投稿者: Yaaatets... ★★★★★ "本田技研の中にあるスターバックスコーヒーです。一般の人は入れません。"

工場内には500人以上が集まれる広大な社員食堂があったり、Honda関連グッズが買えるコンビニもあります。そのため、工場外にコンビニや飲食店はありません。観光目的で休日に来訪した人が、終点付近が閑散としていると感じるのはそのためです。

ライトライン終点の芳賀・高根沢工業団地について少し理解が深まったでしょうか?現状の課題はライトラインの速達性と混雑解消です。朝ラッシュ時はグリーンスタジアム前まではかなり混雑しますし、途中の電停からは満員で乗れないこともあります。快速の停車駅の再設定や速度向上、車両の追加など様々な改善が待ち望まれています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

2022年に宇都宮市に移住。変わりゆく街の様子や地域のトピックを気の向くままに記事にまとめています。

目次