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毛塚幹人氏の講演会レポート

次期県知事選に立候補を表明している毛塚幹人氏がこのたび市内で2度の講演会を開催しました。主に市民に向けた「新しい宇都宮」についての内容で非常に興味深いものでした。

目次

開催された講演会

7/10(火)新しい宇都宮へ

当日は大雨の悪天候でしたが、200人弱が集まりました。1時間程度、宇都宮市の未来像についての講演をされました。

7/15(月) これからの教育と都市経営

ホールは700人満員となっており、別会場で同時配信もされていたようです。

下野新聞デジタル
「新しいリーダー必要」 宇都宮市長選、毛塚氏が出馬記者会見【要約と一問一答】|下野新聞デジタル 11月27日の任期満了に伴う宇都宮市長選で、新人の市出身、元茨城県つくば市副市長の毛塚幹人(けづかみきと)氏(33)=宇都宮市三番町=が11日、県庁で記者会見し、立候補...

この2つの講演会に参加してきました。写真撮影は可能でしたが、録画・録音は禁止となっていました。

毛塚氏の経歴・現在までの活動歴

1991年2月19日生まれ(現在33歳)
宇都宮高校卒業、東京大学法学部卒業
2013年(22歳) 財務省に4年間勤務
2016年(26歳) つくば市副市長に就任(史上最年少)、これに伴い財務省を退官
2019年 フォーブスジャパン誌「世界を変える30歳未満の30人」政治部門に選出
2021年3月 つくば市副市長を任期満了で退任
その後、宇都宮市に戻り、那須塩原市・さくら市の市政アドバイザーなど自治体経営支援を行う

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Tsukuba Global Night(スタートアップ企業紹介イベント)

日本経済新聞
スタートアップ企業紹介、つくば市など都内でイベント - 日本経済新聞 茨城県つくば市などは14日、同市に関連が深いスタートアップ企業を紹介するイベント「Tsukuba Global Night」を虎ノ門ヒルズ森タワー(東京・港)で開いた。起業家らが事業...

毛塚幹人副市長は冒頭「市の未来にとってスタートアップは税収と雇用両方の観点から不可欠。スタートアップの現状を知ってもらいたい」と述べた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31789290U8A610C1L60000/

フォーブスジャパン誌 特集記事

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26歳の若さで「史上最年少の副市長」が誕生した。2年の歳月をかけて地道に理解者を増やし、民間とも手を組みながら、つくば市の改革に邁進している。

https://forbesjapan.com/articles/detail/29276

那須塩原市政アドバイザー活動

市長は11日の定例記者会見で、市政運営に外部有識者の知見を取り入れる「市政アドバイザー制度」を新設し、(中略)宇都宮市出身で茨城県つくば市の元副市長毛塚幹人(けづかみきと)さん(30)の2人に委嘱したと発表した。

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/522043

関連記事に目を通すだけでも、今までの活動について大まかな内容がわかると思います。

つくば市副知事在任期間中は企業のスタートアップ支援、研究者が多いという特性を活かした街づくり、小・中学校教育において成果を残していることがわかります。

つくば市は現在も市の人口が増え続けていることで注目されています。数年以内に県庁所在地の水戸市を追い抜くことも確実視されています。つくばエクスプレス開通により注目度が上がった都市であり、LRT開通した宇都宮市も続くように耳目を集められるといいですね。

講演会の内容

メモを取りながら聞いていたので、正確に発言内容を文字起こしできていない点はご了承ください

「文化と知」の拠点について

この点がやはり一つの大きな争点となりそうです。7/10の初回の講演会の時は質疑応答でもこの点についての質問が多かったです。

県の老朽化した体育館を取り壊した跡地が空いてしまうので、「文化の知」の創造拠点を移転するという構想は一定程度理解はできる。

しかし、本当は県と市が連携すればもっといい政策が実現できると考えている。宇都宮市はLRTを西側に延伸することを計画している。沿線に現在せっかくある公共施設を、LRT電停から徒歩で25分以上かかってしまう場所に移転してしまう。これを市と県で整合性のとれた計画にできるのではないかと考えている。

西側の空いてしまっている施設や公有地が街中にはある。非常に貴重な物件をうまく活用しないというのは果たしてどうなのか。

中心市街地の治安の悪化もだんだんと懸念されるようになってきている。「文化と知」の拠点が街中にあれば昼間から人が集まる。宇都宮市民だけではなく、県内中・全国から人が集まるようになれば周辺に店舗も増えて、治安に対してもいい効果が出るのではないか。

公共交通の沿線に県の施設を作ることで、高校生や免許返納した高齢者、そして遠方から新幹線で遠方から来る方が公共交通機関でアクセスしやすいという利点がある。

市としては一部予算を負担してでも、同施設をLRT沿線に持ってきて将来的にも機能する施設にするべき。

高知県図書館の例の紹介:高知県と高知市で共同で図書館を設立している。税金が下がったり、維持コストを下げることができる。

「文化と知」の拠点は構想段階。まだまだ立ち止まれる段階である。

LRTについて

LRTを実現したのはこれまでの佐藤市長の功績。

日常利用している人はまだまだ多くはない。試しに1,2回乗っただけの方も多いと思う。これから西側延伸することには賛同しているが、沿線の住人のためだけのLRTになってしまっては多くの理解を得られない。東武宇都宮線ときちんと接続したり、バス等の公共交通も含めて接続を充実させる必要がある。駐車場・駐輪場も少ないので、車や自転車で電停にアクセスできるようにしてより広範囲の人が恩恵を受けられるようにしたい。

沿線に目的地を作る必要がある。その例が先程話した図書館や美術館。LRT沿線に作ることで多くの方が利用して、採算にもつながる。

宇都宮市出身の経営者とつながりを持つ

宇都宮市から年間2万人が県外に出ていってしまっている。高校卒業後が特に多い。これを逆にチャンスととらえることが可能。全国に出ていく宇都宮市からの流出者を「関係人口」と捉えて宇都宮市のチカラに変えることができるのではないか。

例えば、宇都宮出身で都内で起業した方も結構いるが、市を出た後になかなか接点を持つことができていない。そういった人に地元で講演をして欲しいとお願いすると、地元と接点を持つことができるため喜んで承諾していただける。このような取り組みをこの3年間続けて、輪を広げてきた。

昨年のジャパンカップでは宇都宮出身の起業した方々にスポンサーになってもらって、多い方には100万円ずつ提供していただいた。地域のことを市内だけで行うのではなく、「関係人口」にも目を向けるべきではないか。

こういった取り組みは他地域でもやっている。群馬県太田市では太田市出身の上場経営者から企業版ふるさと納税の多くを寄付してもらいアリーナを建設した。

日経クロストレンド
オープンハウスが企業版ふるさと納税活用 バスケアリーナを新設 群馬県太田市は、オープンハウス傘下のBリーグ所属プロバスケットボールチーム、群馬クレインサンダーズの拠点(ホームタウン)が2021年7月1日に現在の群馬県前橋市から同...

茨城県水戸市では地元出身の経営者をリストアップを行っている。一緒に投資を行って街中で廃墟となってしまったビルの再生、スポーツチームの支援などを行っている。宇都宮市ももっと外に目を向けるべきではないか。

水戸ど真ん中再生プロジェクト
水戸ど真ん中再生プロジェクト | M-PRO 水戸のど真ん中を再生し、地方創生のモデルをつくる。水戸ど真ん中再生プロジェクト。通称”M-PRO”。

毛塚氏は明言はしていませんが、ブレックス新アリーナ構想について遠回しに言及しているような内容でした。

佐藤市長が駅東公園を新アリーナ候補地として提案したのが2023年9月。それ以降の目立った報道はなく、進展はないように感じます。Bプレミア開始が迫る中で早急に対処すべき課題であり、計画を一歩進めるための良案だと感じました。そして、宇都宮出身の経営者が集まる場をすでに何度も設けており、土台を作っていたことに驚きました。

毛塚氏の印象

ここからは個人の感想なので見たい人だけ見てください。

若いことに対して不安を感じる方もいらっしゃると思いますが、今まで副市長を経験していたこともあり非常に聞きやすい話し方であっという間に初回の講演会では1時間が過ぎてしまいました。

キーワードのひとつに「対話」という言葉が出てきます。双方向性を非常に大事にしており、対話することで見えていなかった問題を拾い上げることができるということを重視しているようです。

また、ここでは記事を書く時間がなかったため触れられませんでしたが、教育についてもつくば副市長時代に力を入れていたことを話されていました。この記事だけでは1割ほども伝わらないと思いますので、1度実際に聞きに行くことをお勧めします。8月以降も講演会は開催されているようなので、参加してみてはいかがでしょうか。

心配な点としては活動資金がどうしても不足している点です。政党支援がない無所属のため、多くの人に知ってもらいたくてもチラシを出せなかったりと不利な面も多いかと思います。市長選までにいかに多くの市民に認知してもらえるかが勝負のカギとなるのではないでしょうか。

だからといって、資金面の解決策として立憲民主党の支援を受けるのはちょっと違うなと感じています。

下野新聞デジタル
立民県連、立候補表明の毛塚氏に関心 宇都宮市長選|下野新聞デジタル 11月に任期満了を迎える宇都宮市長選を巡り、立憲民主党県連の小池篤史(こいけあつし)幹事長は24日、既に立候補を表明している市出身で元茨城県つくば市副市長の毛塚幹人...

立憲民主党からすると独自候補を擁立しても、市長選で勝てる見込みが低いのは明白で毛塚氏を政党推薦で出馬させたい狙いがあるのかと思います。しかし、立憲民主党はLRT計画にも当初反対していたのに、いつの間にか賛同していたり…一貫した姿勢をとっておらず信用ならないところがあります。今後、党の支援を受けるのか、無所属を貫き通すのか?注視していきます。

ここまで毛塚氏を強く推す内容を書いていますが、現職の佐藤市長が市長選では有利な立ち位置であると考えます。これはシンプルに知名度、そしてLRT実現までの長年の成果があるからです。LRT西側延伸完了までは佐藤市長に続けてもらいたいと思っている人も多いはず。

しかしながら、毛塚氏のような優秀な人材は今後現れることがないようにも思えてしまいます。市人口は徐々に衰退していく中、つくば市のように大きな変革をして人口減少を喰いとめるラストチャンスのように思えました。「若さ」だけがメディアでは大きく取り上げられていますが、明確なビジョンを市民に提案して、聞いているだけで少し先の未来が見えたような気がした講演会でした。

市長選まではまだ4カ月以上あります。ぜひ、選挙戦では佐藤市長と毛塚氏の対談を見てみたいものです。

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この記事を書いた人

2022年に宇都宮市に移住。変わりゆく街の様子や地域のトピックを気の向くままに記事にまとめています。

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