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朝・夕ラッシュが限界!ダイヤ改正で改善するか?

ライトラインが開業して約1年半が経ちますが、利用者は緩やかに増加しています。そのため朝夕ラッシュ時間帯でのキャパオーバーが目に見えるようになってきました。

今回の記事は2025年2月時点での状況をもとに書いています

目次

ライトライン車内の様子

ライトラインの乗車定員は160人(座席は50席)です。バス約3台分の輸送力に相当します。

2023年8月に宇都宮駅東側に14kmの区間にわたって建設されました。この時に並行するバス路線、バス停は廃止されました。また、終点近辺に位置する本田技研工業通勤バスを2023年9月より廃止しています

そのため、ライトラインが主な通勤手段として利用されています。他の沿線企業も徐々にライトライン通勤に切り替えており、朝夕の混雑が目立っています。

ライトラインの車内の様子

路面電車のため電車に比べると車内通路はかなり狭い設計になっています。また、LRTは低床車で車輪を収めるスペースの上にボックスシートが設置されています。そのため、全席ロングシートの採用は難しいようです。それでも1編成あたり定員160名は路面電車としては国内トップクラスの輸送力です。

朝通勤ラッシュ時の混雑状況

快速道導入前ですが、朝ラッシュ時の混雑状況はこちらの動画が非常にわかりやすいです。

平日朝通勤ラッシュ時

朝ラッシュ時(宇都宮駅東口 下り)

特に混雑するのが宇都宮駅東口6:58発の快速便です。主な理由は2つあります。

東京・大宮方面から宇都宮駅まで新幹線通勤をしている人が多く、始発のやまびこが宇都宮駅に6:52着となっています。そのため、そこからライトラインに乗り換えて通勤する人がこの快速便に集中するため混雑します。

実際に昨年ライトレール社が調査して結果を以下に転記します。赤色が特に混雑している時間帯を示しています。快速便の需要が非常に高いことが伺えます。6:58の便から突然混雑しており、新幹線通勤客が非常に多いこともわかると思います。

宇都宮駅東口の朝の混雑状況(一部切り取り)

もう1つの理由が行き先設定です。快速便の前後にグリーンスタジアム行きの便が設定されており、これらはキヤノン工場付近にあるグリーンスタジアム電停で折り返す便なので、本田技研工業のある終点まで行きません。本田技研工業への通勤者は6:58または7:02発のいずれかに乗るため、通勤客がこの2編成に集中するのです。

7:08発のグリスタ行きが混まない理由

ふと、先程の表を見返してみると不思議に思うことがあるかもしれません。7:08発のグリスタ行きの便はなぜか空いているのです。キヤノンへの新幹線通勤客は少ないのでしょうか?

実はそういうわけではありません。本田技研工業は通勤バスを廃止した一方、キャノンは現在も通勤バスを出しています。朝6:58分の快速の時間帯に大型観光バス3台が鬼怒通りをライトラインと並行して走る光景を見ることができます。これらのバスには「東口→キヤノン事業所行き」とバスステッカーが付いています。

キヤノン社員全員が通勤バス利用者ではないものの、混雑を避ける目的で通勤バスが継続されているのでしょう。ライトライン開業により鬼怒通りや柳田大橋の混雑も解消されました。通勤バスも開業前より短い時間で到達できるようになったのでしょう。しかし、ライトレール社としては本来ライトライン通勤してもらえるはずの多くの客を逃してしまっていることになります。

夕通勤ラッシュ時の混雑状況

夕方も帰宅ラッシュで混雑するのですが、こちらは別の理由で深刻な問題が起きています。

「ダイヤ改正」について(宇都宮ライトレール社)

2024年春のダイヤ改正で以前より大幅に便数は増えたのですが、夕ラッシュは通勤客の帰宅時間がバラける反面、買い物帰りの日常利用客と時間帯が重なります。

上りのベルモール~東口間の積み残し

日常利用客数は日によって大きく変動するので予想しにくいです。宇都宮大学陽東キャンパス前電停(ベルモール前)は夕方の買い物の前後でライトラインを利用する客も非常に多いです。

芳賀・高根沢工業団地から帰宅する通勤客でほぼ満員の車両がベルモール前にやってくるので、キャパオーバーで積み残しが出る場面をたまに見かけます。特にベビーカーを連れた親子が乗車できない場面を見かけたこともあり、心が痛みました。

当然、それ以降の陽東3丁目、峰でも乗車できない人が出てしまいます。その次の駅東公園からは降車する客が増えるので、問題なく乗車できます。

日常利用者がこの混雑を見越して利用時間をずらすようになったためか、最近は積み残しは減ったようです。しかし、今も積み残しがまったくないわけではありません。

次のダイヤ改正で増便はあるのか

前回はダイヤ改正を2月21日に発表していたので、ちょうど今頃なんですよね。朝ラッシュ時については現時点でも1~2便は増やさないいけない状況です。それだけでなく、更にLRT需要が増える要素がいくつかあります。

沿線のマンション・アパートの増加

ブレンシエラ宇都宮駅東公園前

ブレンシエラ宇都宮駅東公園前をはじめとした沿線のマンション、アパートが続々と建設されています。地価が高くなっている駅東側に移り住む方の多くはライトラインの日常利用を考えているのではないでしょうか。

清原工業団地の2つの新工場が稼働開始

キヤノン、中外製薬の新工場の稼働開始が迫っています。キャノン工場はグリスタ前電停から徒歩2分、中外製薬新工場は清陵高校前電停から徒歩4分の立地です。2工場とも規模が大きいため、ライトライン通勤する人はますます増えることでしょう。

キヤノン新工場

キヤノンは、半導体製造装置などを生産する宇都宮事業所に新工場を建設することを決定し、2025年上期からの操業を計画しています。
●キヤノン株式会社宇都宮光学機器事務所新工場(2025年上期稼働予定)
投資額 約380億円
敷地面積 約70,000平方メートル

https://global.canon/ja/news/2022/20221006-2.html
中外製薬新工場

宇都宮工場内に、計500億円を超える2件の新規設備投資を決定
●バイオ原薬製造棟新設工事(2016年10月稼働)
総投資額 374億円
建築面積 3,206平方メートル(免震4階建)
延床面積 9,791平方メートル
●注射剤棟新設工事(2026年3月稼働)
総投資額 190億円
建築面積 2,589平方メートル(免震3階建)
延床面積 7,682平方メートル

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20230530170001_1301.html

LRT車両のみ2編成分追加購入に変更

下野新聞デジタル
LRT車両の追加をとりやめ 宇都宮市 代わりに購入するのは「追加と同程度の効果」がある台車|下野新聞... 次世代型路面電車(LRT)の車両2編成の追加を計画していた宇都宮市は11日、追加を取りやめ、2編成分に相当する台車6台を購入する考えを明らかにした。同日の定例市議...

もともと2編成分の車両を追加購入する予定でしたが、最終的に台車部分のみ2編成分(6台)購入する方針に変わりました。

建設部長からは大規模検査の作業日数を短縮することで、車両追加に相当する効率的な運用ができるとのこと。これによりで4億円分負担を減らすことができるようですが、逼迫する需要に応えることはできるのでしょうか。

おわりに

少しネガティブな話もありましたが、今回の問題点はすべてライトラインが成功しているからこそ、出てきたものです。開業前のように「LRTなんて誰も利用しない」という市民の声もめっきり聞かなくなりました。

需要は十分にあるので、その需要に見合うようなダイヤ改正を行わないと混雑でLRTに乗れなくなり敬遠されてしまうかもしれません。西側延伸前に改善すべきところは改善して、より便利な公共交通機関にアップグレードすることを願っています。

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この記事を書いた人

2022年に宇都宮市に移住。変わりゆく街の様子や地域のトピックを気の向くままに記事にまとめています。

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