MENU

宇都宮LRTの東武鉄道への乗り入れは実現するのか?

福田県知事より「LRTと東武宇都宮線の相互乗り入れ」を公約にすると発表がありました。技術的には不可能ではない相互乗り入れですが、果たして実現するのでしょうか。

本記事は簡易的にまとめているだけなので、普段よりも薄めの内容となっています。

目次

LRTから東武への相互乗り入れ

本日付のニュースで栃木県の福田富一知事よりライトライン(宇都宮LRT)の東武宇都宮線との相互乗り入れを目指すことを公約に盛り込むことの発表がありました。2社で記事になっていますが、若干ニュアンスに違いがあります。

下野新聞社

次世代型路面電車(LRT)のJR宇都宮駅西側への延伸を支援し、東武宇都宮線との相互乗り入れを目指すとした。

https://smart.shimotsuke.co.jp/articles/-/960716

日本経済新聞

福田知事は会見で「動く歩道で結ぶことなども理論上は可能だ。接続で当面しのぐのか、LRT化を望むのかといったことについて東武鉄道と協議し、整理しながら課題を解決していく」と説明した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1164H0R10C24A9000000/

(追記)下野新聞社の記事内容が不正確

(追記 9/15)
その後、下野新聞社の記事は正しい内容ではないことが判明しています。

「相互乗り入れを公約へ」という記事タイトルですが、少なくとも現時点で県知事が積極的に相互乗り入れを導入することは明言していません(現時点で下野新聞社の記事内容の修正なし)。

東武宇都宮駅とLRT電停との接続

東武宇都宮駅から東武宇都宮駅前電停(仮)まではホームまでの距離を考慮すると約250m。乗り換え距離としてはそこまで離れているわけではありません。東武宇都宮百貨店の3階に東武宇都宮駅のホームがあります。宇都宮駅東口電停から東北新幹線ホームまでの距離の感覚に近いです。

歩行距離250mに加えて2階分の高低差がありますが、都内の地下鉄乗り換えの際の歩行距離としては珍しくない距離なので高齢者にとっても負担はそこまで大きいとは思いません。

青丸が電停建設予定地

この東西方向に伸びるライトラインと南北方向の東武宇都宮線を相互乗り入れすることが、今回の知事の公約のようです。

相互乗り入れの問題点

Xでも相互乗り入れについては問題点が複数挙げられています。電気方式の違い(東武 直流1500V、LRT 直流750V)、専用ホームを設ける必要性、低床車の新規採用、駅間高低差問題など様々な懸念があるでしょう。しかし、これらは現時点では不毛な議論です。むしろ、ひとつ前のフェーズをしっかり検討すべきです。

上述の日本経済新聞の記事を再度引用します。

「動く歩道で結ぶことなども理論上は可能だ。接続で当面しのぐのか、LRT化を望むのかといったことについて東武鉄道と協議し、整理しながら課題を解決していく」

下野新聞社の記事では相互乗り入れを積極的に進めていくような印象のタイトルでしたが、どうもそうではないようです。「接続で当面しのぐ」という選択肢も当然残されているようですね。

1番の問題点は相互乗り入れを仮に実施したとして、費用対効果が見込めない点だと考えます。宇都宮駅の利用者数が1日あたり約83,000人に対して東武宇都宮駅は約10分の1です。相互乗り入れ導入により宇都宮市以南の地域から東武宇都宮線を利用している人は逆に乗り換え回数が増える可能性もあります。相互乗り入れがどれだけの人に恩恵をもたらすかという点をこれからしっかりリサーチする必要があります。

相互乗り入れするを導入する場合は、3階の高さにあるホームとの接続するために併設の東武宇都宮百貨店の改築もしくは建て替えが必要になります。当然、莫大な費用がかかってきますが、これを県が一部負担することになるのかどうかも気になるところです。

良い点ももちろんある

相互乗り入れそのものによるメリットは希薄ですが、これに伴い東武宇都宮百貨店の建て替えが行われれば新たな駅西側のにぎわいの場となるでしょう。

西側の市街地中心部のオリオン通り、馬場町周辺は地権者等が再開発を拒んでいる地区もあり、日々衰退しています。最近ニュースになった大型書店撤退も市民にとっては衝撃となっています。西側延伸後の目的地が新たに創出できれば、休日を中心にLRT利用者も底上げできるでしょう。

また、東武からLRTへの乗り入れがあれば、東武宇都宮-宇都宮駅間は編成を増やせるかもしれません。現在の宇都宮駅東側のライトライン開業区間は朝・夕ラッシュ時は、通勤者が非常に多く積み残しが出る便もあります。2年後に2編成追加予定はあるものの、伸び続ける需要に追いつけるかどうかギリギリのラインの輸送力となっています。

仮に東武側で低床車を導入することがあれば、編成不足問題解決への新たなアプローチとして注目されるかもしれせんが、様々な壁があるのも事実です。現時点では過度な期待はしないでおきましょう。


ここからは余談です。今回は突然県知事が独断で相互乗り入れを公約に組み込んできたようなニュースでしたが、背景に何か事情があるのではないかと考えます。東武鉄道にとってこのニュースは全くの寝耳に水だったのでしょうか?

東武鉄道決算資料(2024/5/15)より

東武鉄道でも決算資料の中にで小さくではありますが、東武宇都宮駅周辺の開発検討の話題が出ていました。公約発表前に県関係者と東武鉄道の間で何かやり取りがあったのかもしれません。考えすぎかもしれませんが、今回の件については続報を待つことにします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

2022年に宇都宮市に移住。変わりゆく街の様子や地域のトピックを気の向くままに記事にまとめています。

目次